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信頼して待つこと

『信頼して待つ』という姿勢は、私たちの仕事や人生に何をもたらしてくれるのでしょうか。コーチングによる学びをヒントに探求してみたいと思います。

コーチングをする時、相手を『信頼して待つ』という姿勢が、コーチにとって大切だと言われています。例をみてみましょう。コーチが投げかける問いが、クライアントにとって、考えても見たことのない領域について考えさせられる深い問いかけであることはよくあることです。そんな時、決まってその場に流れるのが長い『沈黙』です。この『沈黙』にはとても大切な意味があります。それは、クライアントが自分の内側に意識を向け、ゆっくりと自分の答えを探そうとする時間なのです。そんな時、つい『沈黙』が恐くなったコーチが、助け船をだそうと、自分の意見を言ったり、別の質問を投げかけたりして、『沈黙』を壊そうとすることがあります。ところが、後からクライアントに聞いてみると、「あの時、もう少し待ってほしかった、もう少しで自分の答えが見つかりそうだったから……」ということがよくあるものです。一方で、コーチがクライアントの答えを見つける力を信頼して待つことができた時、想像を超えるような力強い答えがクライアントから返ってくることがよくあるものです。それは、コーチが最初に思っていた答えより、クライアントにとってはるかに良い答えであることが往々にしてあるのです。クライアントが答えを見つけることを心から『信頼して待つ』こと――それこそが、コーチングがもたらすギフトであり、クライアントが自分の力を取り戻すサポートになるのです。

『信頼して待つ』ことは、コーチにとって大切な一つの姿勢ですが、人生の様々な場面で、私たちを助けてくれるあり方ではないでしょうか。自分が成長を願う子供や部下に思いが届かず、イライラすることは、誰でも体験しているはずです。また自分自身が実現したいことがなかなか形にならず、不安に思ったり、もうあきらめようと思ったりすることもあるでしょう。そんな時、私たちが、自分を・相手を『信頼して待つ』ことを選択肢の一つとして持つことができたなら、どれだけ可能性が広がるでしょう。これは、絶対に〇〇でなければならないと力をいれて待つのとは違います。また、形に拘りすぎて未来を限定することとも異なります。自分の願いを持った上で、最良の結果が起こることを知ってくつろいで待つ――という姿勢と言えます。『信頼して待つ』ことを人生に取り入れることで、待った甲斐のあるものと出逢えたり、期待を超える結果を手にすることが増えるはずです。その選択肢を自分に与えてみませんか。

関 京子