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Z世代の力を未来へつなぐ大人の役目

大学で「ライフ・コーチング」を教えて今年で8年になりますが、毎回、学生たちが持つ純粋な力に驚かされます。世間では「Z世代は自己肯定感が低い」「打たれ弱い」と語られることもありますが、私が出会っている彼らには、むしろ目を見張るほどの強さと優しさをもっています。彼らは、心の奥にまっすぐ触れる質問を自然に生み出し、そして何より、とても純粋で、大人がいつの間にか忘れてしまった“透明なまなざし”を、彼らは当たり前のように持っているのです。

例えば、学生たちのコメントには、コーチングをテクニックとして扱うのではなく、目の前の相手を大切に思う気持ちがにじんでいます。中には、「プロコーチではないのだろうか」と思うほどレベルの高い発言もあります。授業の中で出てきた言葉をいくつか紹介すると、次のようなものがあります。

  • 「相手が沈黙するのは、考えている証拠。だから待つことが大事だと思う」
  • 「相手が使った言葉を深める質問をすると、その人自身が答えにたどり着ける」
  • 「話す相手が緊張しないように、自分がまずリラックスしていたい」

これらは、プロのコーチが常に心に留めておくべき大切なポイントです。3日間の集中講義を終えたとき、私は改めて、人の心を温かく包み込む力を、彼らはすでに持っているのだと深く感じました。そして、これらのコメントの背景には、彼らが持つ“まっすぐな純粋さ”と“深い精神性”があるのだと思います。

その純粋さは、彼らの“家族を思う気持ち”にも表れています。「誰にコーチングをしたい?」と尋ねると、多くの学生が迷わず家族の名前を挙げます。

  • 「お母さんがずっと自分の可能性を信じてくれたから、今度は自分がお母さんの可能性を信じてあげたい」
  • 「弟が悩んでいるから、力になりたい」

そんな言葉が、照れも計算もなく、自然に出てきます。家族を大切に思う気持ちを隠さずに表現できることは、実はとても成熟した姿勢です。大人になるにつれ、私たちは“家族への思い”をどこかで照れや遠慮で包み隠してしまいがちですが、彼らはそれをまっすぐに言葉にします。

彼らの優しさや成熟した姿勢は、古い“ねばならない”という世間の常識を持たないこととも深くつながっているように感じます。昭和の大人が無意識に背負ってきた「こうあるべき」「我慢するのが普通」という意識と、彼らは別の次元に生きているように感じられます。例えば、こんな姿勢が自然にあります。

  • 常識ではなく、本当に願っていること、心の声を大切にする
  • 我慢した人の痛みに敏感で、人に寄り添うとはどういうことか、真剣に考えている

これは、彼らが元々もつ精神性の高さにも感じられます。古い常識に縛られていないからこそ、彼らは問題に対して柔軟で、創造的で、まっすぐです。そして、誰かを変えようとするのではなく、その人の内側にあるものを尊重しようとする姿勢を自然に持っています。この柔らかさと強さは、これからの時代のリーダーに欠かせない力だと感じています。

だからこそ、彼らの力を、大人が評価し、つぶしてはいけないのではないでしょうか。Z世代は、経験は少なくても、心の奥にある“本質”を見抜く力を持っています。しかし、大人が無意識に押しつけてしまう「正解」や「常識」は、ときにその芽を静かにふさいでしまいます。必要なのは、教え込むことではなく、彼らの中にすでにある力をそっと引き出す関わりではないでしょうか。彼らの言葉を、ひとつひとつ丁寧に受け止め、彼らの“まっすぐさ”を弱さではなく、未来をつくる力として認めることだと思います。彼らは、優しさを力として使える世代です。その力が自然に育つ場をつくることが、今の大人に求められている役割なのだと思います。